【3】増資(募集株式発行)


(1)株式会社・特例有限会社の増資(募集株式の発行)


株式会社は、募集株式の発行手続によって、発行可能株式総数の範囲内で、未発行の株式を発行して資本の増加をすることができます。

 

資本金の額は定款に記載され(絶対的記載事項)、登記所(法務局)に登記されていますので、会社が成立した後に、資本金の額を変更する場合は、定款の変更及び募集株式の発行による変更登記の申請が必要になります。

 

会社設立後に資本金の額を増やすことを「増資」または「資本の増加」といいます。これに対し、会社設立後に資本金の額を減らすことを「減資」または「資本減少」といいます。

 

金銭を出資の目的にする方法と、金銭以外の財産を出資の目的とする方法(現物出資)がありますが、以下金銭を出資の目的にする方法についてご説明します。

 

※金銭を出資の目的にする方法と、金銭以外の財産を出資の目的とする方法(現物出資)を併用することもできます。

 


(2)株式会社・特例有限会社の現金による増資(募集株式発行)手続の概要


●株主総会の招集を通知します。

●募集事項の内容によって決定する機関が異なります。

具体的には次の事項です。

(1)株主に割り当てを受ける権利を与えるかどうか

(2)公開会社か非公開会社か

(3)有利発行であるかどうか

●上記の機関で、募集事項などの決議を行います。

具体的には次の事項です。

(1)募集株式の数・種類

(2)募集株式の払込金額又はその算定方法

(3)株主に対し、募集株式の引受けの申込みをすることにより当該株式会社の割当てを受ける権利を与える旨

(4)前号の募集株式の引受けの申込みの期日

(5)募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日又は期間

(6)株式を発行するときは、増加する資本金及び資本準備金に関する事項

●募集株式の引受人は、募集株式の引受けの申込書を提出します。

●募集株式の引受けの申込みの期日に募集株式の引受人が確定します。

●金融機関で、募集株式の払込金額を払込みます。

●払込みの期日を定めた場合は払込みの期日に、払込みの期間を定めた場合は払込みを行った日に、募集株式の発行についての効力が発生します。

●管轄の登記所で、募集株式の発行による変更登記の申請を行います。

●諸官庁への届出を行います(税務署、都道府県税事務所、市町村役場、公共職業安定所、社会保険事務所)。

 


(3)株式会社・特例有限会社の現物出資による増資(募集株式発行)手続の概要


●株主総会の招集を通知します。

●募集事項の内容によって決定する機関が異なります。

具体的には次の事項です。

(1)株主に割り当てを受ける権利を与えるかどうか

(2)公開会社か非公開会社か

(3)有利発行であるかどうか

●上記の機関で、募集事項などの決議を行います。

具体的には次の事項です。

(1)募集株式の数・種類

(2)募集株式の払込金額又はその算定方法

(3)株主に対し、募集株式の引受けの申込みをすることにより当該株式会社の割当てを受ける権利を与える旨

(4)前号の募集株式の引受けの申込みの期日

(5)募集株式と引換えにする金銭以外の財産の給付の期日又は期間

(6)株式を発行するときは、増加する資本金及び資本準備金に関する事項

(7)金銭以外の財産を出資の目的とする場合は、その旨並びに当該財産の内容及び価額

●募集株式の引受人は、募集株式の引受けの申込書を提出します。

●募集株式の引受けの申込みの期日に募集株式の引受人が確定します。

●現物出資財産の給付をします。

●給付の期日を定めた場合は給付の期日に、給付の期間を定めた場合は給付を行った日に募集株式の発行についての効力が発生します。

●管轄の登記所で、募集株式の発行による変更登記の申請を行います。

●諸官庁への届出を行います(税務署、都道府県税事務所、市町村役場、公共職業安定所、社会保険事務所)。

 


(4)現物出資とは?


現物出資とは、金銭以外の財産で出資することです。

 

現物出資の目的は、株式会社・特例有限会社の資本を充実させることです。

 

よって、貸借対照表の資産の部に計上することができる財産であれば、何でもよいことになっています。

 

主な具体例としては次のものが挙げられます。

①動産

②不動産

③有価証券(国債・社債・株券など)

④鉱業権

⑤漁業権

⑥工業所有権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権)

⑦債権(貸付金など)

⑧営業の全部又は一部

⑨得意先

⑩営業上の秘訣※ただし、労務や信用は含まれません。

 

■ポイント

 

現物出資をする場合は、原則として裁判所が選任した検査役の調査が必要となりますが、次の場合は検査役による調査が不要です。

 

(1)現物出資をする引受人に割り当てる募集株式の総数が発行済株式の総数の10分の1を超えない場合

 

(2)募集事項として決定された現物出資の目的となる財産の価額の総額が500万円を超えない場合

 

(3)現物出資の目的とする財産が市場価格のある有価証券である場合において、募集事項として決定された「現物出資の目的となる財産の価額」が当該有価証券の市場価格を超えない場合

 

(4)募集事項として決定された「現物出資の目的となる財産の価額」が相当であることについて、弁護士又は弁護士法人、公認会計士(外国公認会計士を含む)、監査法人、税理士又は税理士法人が証明した場合(財産が不動産の場合は、不動産鑑定士の鑑定評価が必要)

 

(5)現物出資の目的とする財産が募集株式の発行をする株式会社に対する金銭債権(弁済期が到来しているものに限る)であって、当該金銭債権に関する募集事項として決定された「現物出資の目的となる財産の価額」が、その金銭債権の帳簿価額を超えない場合

 


(5)株式会社・特例有限会社の募集株式の発行による変更登記申請手続


・登記の申請期間

株式会社は、募集株式を発行して発行済株式の総数や資本金の額を変更したときは、本店所在地では2週間以内、支店所在地では3週間以内に、募集株式の発行による変更登記の申請を行う必要があります(払込期日を設定した場合)。

※払込期間を設定した場合は、当該末日から2週間以内に、募集株式の発行による変更登記の申請を行う必要があります。

 

・登録免許税

募集株式の発行による変更登記の登録免許税は、本店の所在地では、増加した資本の額の1,000分の7(3万円に満たないときは、3万円)、支店の所在地では9,000円です。

 

おまけ

■株式会社の募集株式発行と「発行可能株式総数」

 

募集株式は、定款で定めた「発行可能株式総数(授権資本)」の範囲内でなければ、発行することができないため、必要に応じて、定款の変更及び発行可能株式総数(授権資本)の変更の登記申請を行います。

 

定款の変更が不要なケース 

●「発行可能株式総数」の範囲内で募集株式を発行する場合

 

定款の変更が必要なケース 

●「発行可能株式総数」に未発行の部分がない場合

 

●「発行可能株式総数」に未発行の部分あっても、新たに発行しようとする株式数に不足する場合